🔥 炭素は減ったのに、なぜ灼熱へ?― P–T境界(ペルム紀末大量絶滅)を炭素循環から読み解く
🧭 はじめに
「石炭紀で大量に炭素が固定されたなら、CO₂は減ったはずでは?」 それにもかかわらず、**ペルム紀末には極端な温暖化が起き、地球史最大の大量絶滅(P–T境界)**が発生しました。
この記事では、
- 石炭紀〜ペルム紀にかけての炭素循環の非対称性
- P–T境界とは何を意味する境界なのか
- なぜ「寒冷化 → 超温暖化」という反転が起きたのか
を、因果関係が追える形で整理します。
🧱 まず結論(要点)
- 石炭紀の炭素固定は「永続的」ではなかった
- ペルム紀末には固定された炭素が一気に大気へ戻された
- その主因がシベリア・トラップ火山活動
- P–T境界は「生物史の区切り」ではなく 炭素循環システムの破壊点
🌿 石炭紀の炭素固定は「一時的な偏り」
🌳 なぜ石炭が大量にできたのか
石炭紀の特徴は、
- 巨大な森林(シダ・ヒカゲノカズラ)
- 分解者(リグニン分解菌)が未発達
- 倒木が分解されず堆積
結果として、
- 大気中CO₂ → 植物体 → 地中(石炭) という一方通行の炭素フローが成立しました。
これは炭素循環の「正常状態」ではなく、分解者の未成熟による一時的な非平衡状態です。
❄ 副作用:寒冷化
- CO₂減少 → 温室効果低下
- 石炭紀後期〜ペルム紀初期は寒冷化傾向
🔁 ペルム紀に起きた「炭素の逆流」
🦠 分解者の進化
ペルム紀には、
- 白色腐朽菌などのリグニン分解能力が進化
- 地表に蓄積された有機炭素が分解対象に
→ 石炭形成はほぼ停止
🌋 決定打:シベリア・トラップ火山活動
🔥 規模が異常
- 噴出期間:数十万〜数百万年
- 噴出量:数百万 km³
- 地球史最大級の洪水玄武岩
💨 放出されたもの
- CO₂(温室効果)
- SO₂(酸性雨)
- CH₄(メタン:超強力な温室効果)
特に重要なのは、火山マグマが「石炭層」を焼いたこと。地中に隔離されていた炭素が直接大気へ戻されました。
🌡 なぜ「石炭があるのに温暖化」したのか
❌ 誤解
石炭=炭素が永久に封印された
✅ 実際
- 石炭は地質学的に不安定な炭素貯蔵
- 火山・造山・侵食で再び大気へ戻る
ペルム紀末の炭素フロー
石炭・堆積有機物
↓(火山・加熱・分解)
CO₂ / CH₄
↓
急激な温暖化
石炭紀は「炭素を溜めた時代」、ペルム紀末は「それを一気に放出した時代」です。
🌊 連鎖崩壊:P–T境界の実態
🧪 海洋で起きたこと
- 温暖化 → 海水循環停止
- 海洋無酸素化(アノキシア)
- 硫化水素(H₂S)発生
- 海洋生物壊滅
🌍 陸上で起きたこと
- 高温・乾燥・酸性雨
- 植物群落の崩壊
- 食物網の完全破断
📉 絶滅規模
- 海洋生物:90〜96%絶滅
- 陸上脊椎動物:約70%絶滅
これは「適応できなかった種が消えた」レベルではなく、生態系そのものが成立不能になった状態です。
🚧 P–T境界とは何か
📐 単なる年代区切りではない
P–T境界(ペルム紀–三畳紀境界)は、
- 古生代型生態系の完全崩壊
- 炭素循環・酸素循環の再構築
- 生態系が「ゼロから再起動」
という地球システムの断絶点。
境界層には炭素同位体比(δ¹³C)の急変が見られ、全球規模の炭素放出を示しています。
🧠 まとめ(理解の軸)
- 石炭紀の炭素固定は「一時的な偏り」
- ペルム紀末には 火山活動+分解+地殻活動で一気に逆流
- P–T境界は 炭素循環が暴走した結果としての生物絶滅
- 地球は「ゆっくりなら耐えられる」が 速すぎる変化には耐えられない
この視点で見ると、 ペルム紀末は「過去の話」ではなく、地球システムが持つ限界の実証例でもあります。