白亜紀と新生代を分けた一瞬 - K–Pg境界大量絶滅イベント
🌍 はじめに
白亜紀と新生代を隔てる境界は、地球史の中でも最も有名な転換点の一つです。恐竜を含む多くの生物が姿を消し、その後の地球がまったく別の進化ルートに入ったからです。 この記事では、このK–Pg境界(白亜紀–古第三紀境界)大量絶滅について、「何が起きたのか」「なぜ境界として扱われるのか」「地球史の中でどんな意味を持つのか」を整理します。
🧭 K–Pg境界とは何か
K–Pg境界(K–Pg boundary)とは、約6600万年前に位置する地質学的な境界です。
- K:白亜紀(ドイツ語 Kreide)
- Pg:古第三紀(Paleogene)
この境界は単なる年代区切りではなく、**生物相が急激に入れ替わった明確な「事件の痕跡」**によって定義されています。
地質時代の境界は「キリのいい年数」ではなく、地層に残る客観的な変化(化石・化学組成など)で決められます。
☄️ 境界イベントの正体:何が起きたのか
現在もっとも支持されている原因は、巨大天体の衝突です。
🔹 チクシュルーブ衝突
- 直径約10kmの小惑星が、現在のメキシコ・ユカタン半島付近に衝突
- クレーター直径:約180km
- 放出エネルギー:核兵器数十億発相当
この衝突によって、
- 全球規模の地震・津波
- 大量の粉塵・硫酸エアロゾルが成層圏へ
- 太陽光が遮られ、急激な寒冷化(インパクト・ウィンター) が引き起こされました。
🧪 証拠は何か:なぜ確定できるのか
このイベントは仮説ではなく、複数の独立した証拠で裏付けられています。
1️⃣ イリジウム異常
- K–Pg境界の地層に、地球表層では極めて希少なイリジウムが集中
- 隕石由来と考えるのが最も自然
2️⃣ 衝撃石英(ショックド・クォーツ)
- 高圧衝撃でしか形成されない鉱物構造
3️⃣ チクシュルーブ・クレーター
- 年代・規模・位置が境界と一致
「いつ・どこで・何が起きたか」が、地層・化学・地球物理の三方向から一致している点が、この境界イベントの確実性を支えています。
🦖 どれほどの生物が絶滅したのか
推定では、
- 全生物種の約75%が絶滅
- 非鳥類型恐竜は100%絶滅
- アンモナイト、翼竜、多くの海洋プランクトンも消滅
一方で、
- 小型哺乳類
- 鳥類(恐竜の一系統)
- 一部の爬虫類・両生類 は生き残りました。
⏳ なぜ「白亜紀の中」に含めないのか
ここが重要なポイントです。
❌ 白亜紀の延長では説明できない
- 白亜紀後期までは、生態系は「恐竜中心」で安定していた
- 境界イベントは進化の延長線上ではなく、外的要因による断絶
✅ 生物相が根本的に変わった
- 陸上の主役が恐竜 → 哺乳類へ
- 食物網の基盤(植物・プランクトン)も再編
大量絶滅は「成功の果て」ではなく、「ルールそのものが強制的に書き換えられた瞬間」です。
このため、
- 白亜紀:恐竜の時代
- 新生代:哺乳類の時代 という、質的に異なる区分として扱われます。
🌱 新生代への扉としての意味
この絶滅がなければ、
- 哺乳類が大型化する余地はほぼなかった
- 霊長類、人類の進化も成立しない
つまりK–Pg境界は、
人類史以前に、人類の可能性を開いた境界 でもあります。
このイベントは「再現性がほぼない偶然」です。人類の存在は、進化の必然というより地球史的には極めて例外的です。
🧠 まとめ
- K–Pg境界は、明確な物理的事件による地球史の断絶点
- 小惑星衝突が全球規模の環境崩壊を引き起こした
- 生物進化の主役が完全に交代したため、紀の境界として定義される
- 新生代は、この「更地」から始まった時代