始新世の温暖化はなぜ起こったのか?
結論の骨子
- 温暖化の直接原因: → CO₂・CH₄(メタン)など温室効果ガスの急増
- 問題は → なぜそれが一気に放出されたのか
有力な原因仮説(複合要因)
① メタンハイドレートの暴走的放出(最有力)
- 海底堆積物中に凍結状態で存在するメタンハイドレート
- 何らかの初期温暖化で安定条件が崩れる
- メタン(CH₄)が大量放出 → CO₂よりはるかに強力な温室効果
- 温暖化 → さらなる放出 → 正のフィードバック
PETMの炭素同位体比(δ¹³C)の急変は、生物由来メタンの大量放出と整合的。
② 大規模火成活動(火山・マグマ活動)
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北大西洋火成区(NAIP)の形成期と時期が近い
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マグマ貫入により
- 有機物層が加熱
- CO₂・CH₄が放出
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火山ガス由来の炭素供給
「メタン放出の引き金」として火成活動が働いた可能性が高い。
③ プレート配置と海流の変化(背景要因)
- 大陸配置が現在と大きく異なる
- 極域と低緯度の熱交換が弱い
- もともと温暖になりやすい地球状態
始新世は「原因がなくても暖かめ」のベースラインにあった。
なぜ“始新世”で起きたのか?
重要なのはここ。
- 白亜紀末の寒冷化 → 回復途中
- 海底に炭素が大量に蓄積
- 気候システムが不安定な臨界状態
そこに小さな変化(火山・海温上昇など)が加わり、 一気にバランスが崩れたと考えられている。
現代との決定的な違い
- PETMの温暖化: → 数千〜数万年スケール
- 現代の温暖化: → 数百年以下
PETMですら海洋酸性化と大量絶滅が起きた。速度の点で現代はそれ以上に危険。
まとめ
- 始新世温暖化の本質は 「炭素循環の暴走」
- 単一原因ではなく 火成活動 × メタン放出 × 地球システムの不安定性
- 地球は「ゆっくりなら耐えられる」が 速すぎる変化には弱い
この理解は、そのまま 「なぜ漸新世で寒冷化へ反転したのか」 にもつながる。