太古代(Archean Eon)-「生命が地球に根を下ろした時代」
はじめに
太古代(たいこだい)は、冥王代の混沌がようやく落ち着き、生命が実在として地球に定着し始めた時代です。 この時代は、単に「最初の生命が現れた」というだけでなく、大気・海洋・大陸・生物圏が初めて相互作用を始めた段階でもあります。
冥王代が「惑星形成の時代」だとすれば、太古代は 「地球が“生命の惑星”へと変わり始めた時代」 と言えます。
🕰 太古代の基本データ
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期間:約40億年前 〜 約25億年前
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区分:先カンブリア時代(冥王代の次)
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主な特徴:
- 最古の生命証拠
- 原始的な大陸の形成
- 酸素のほとんどない大気
太古代からは、冥王代と違って「実際の岩石(地層)」が世界各地に残っています。ここから地質学が本格的に機能し始めます。
🧬 太古代最大の出来事:生命の誕生と定着
① 最古の生命の証拠
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約38〜35億年前の地層から
- 炭素同位体比の偏り
- 微生物由来と考えられる構造
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明確な多細胞生物は存在しない
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主役は原核生物(細菌・古細菌)
「生命が存在した証拠」が、地層として確認できる最古の時代が太古代です。
② ストロマトライトの出現
- シアノバクテリア(藍藻)が作る層状構造
- 現生のストロマトライトも存在
- 太古代の生態系の“化石記録装置”
ストロマトライトは「生物が環境を書き換えた痕跡」がそのまま地層になったものです。
🌫 太古代の大気:酸素はほぼゼロ
原始大気の特徴
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主成分:
- 二酸化炭素(CO₂)
- 窒素(N₂)
- メタン(CH₄)
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酸素(O₂)は極微量
現在の生物の大半は、この時代の大気では生存できません。
光合成はすでに始まっていた
- シアノバクテリアが酸素発生型光合成を開始
- ただし酸素はすぐに大気には蓄積しない
理由:
- 鉄・硫黄などが酸素を大量に吸収
- 海中で酸化反応が優先
🪨 縞状鉄鉱層(BIF)が語るもの
- 太古代の海に溶けていた鉄が
- 酸素によって酸化・沈殿
- 縞状鉄鉱層(Banded Iron Formation) を形成
現在の鉄鉱石資源の多くは、太古代の生命活動の副産物です。
🌍 大陸の誕生:安定した足場ができる
太古代の地殻進化
- 初期の大陸核(クラトン)が形成
- 花崗岩質地殻が増加
- 地球内部の熱流量が徐々に低下
現代の大陸の「芯」は、太古代に形成された部分が多く残っています。
🌊 海と生命の共進化
- 海はすでに広範囲に存在
- 熱水噴出口周辺が重要な生態系
- 紫外線を遮る環境として海が生命を保護
オゾン層はまだ存在しないため、陸上は極めて過酷でした。
🔁 太古代は「実験の時代」
この時代の生命は:
- 単純
- だが多様
- 失敗と淘汰を繰り返す
現存するすべての生命の祖先系統は、この太古代に分岐したと考えられています。
🧱 なぜ太古代は冥王代と分けられるのか
| 観点 | 冥王代 | 太古代 |
|---|---|---|
| 地層 | ほぼ残らない | 明確に残る |
| 生命 | 不確実 | 実在が確認 |
| 主役 | 惑星形成 | 生命+地殻 |
→ 「生命史が始まった」決定的な境界
✨ まとめ
- 太古代は 生命が地球に定着した最初の時代
- 酸素のない世界で、微生物が地球環境を静かに改変
- 大気・海洋・地殻・生物圏が初めて結びつく
- 後の「酸素革命」への長い助走期間