📊 CL1 / CL2 / CL3 の本当の違い
🧭 はじめに
このページでは、A-SPICEにおける CL1 / CL2 / CL3 の違い を整理する。 特に重要なのは、これらを 作業量・文書量・厳しさの段階 として理解しないことである。 CLの差分は、「どこまで組織として説明・再現できる状態か」という 質的な断層 にある。
🏗️ 背景・前提:なぜCL1〜CL3が分けられているのか
A-SPICEは、プロセスの状態をいきなり「理想形」で測ろうとはしない。 代わりに、次の問いを段階的に切り分けている。
- そもそもやっているのか
- やっていることは管理されているのか
- 管理の仕方は定義され、共有されているのか
CL1 / CL2 / CL3 は、この3つの問いにそれぞれ対応している。 ここで見ているのは「結果」ではなく、プロセスが成立している論理構造である。
CLの段階は難易度の階段ではない。
性質の異なる問いを順に分離した結果である。
🧩 CL1:やっている(Performed)
🧱 CL1が意味する状態
CL1とは、「そのプロセスが実際に実行されている」状態を指す。
- 要求分析を行っている
- 設計をしている
- テストを実施している
ただし、ここで問われるのは 結果が出ているかどうかだけ である。
CL1ではなぜそうしたのかや誰がどう判断したのかは問われない。
🧠 CL1の本質
CL1は、個人依存でも成立する。 極端に言えば、優秀な担当者が頭の中で考え、成果物を出していればCL1は満たせる。
そのためCL1は、
- スピードが出やすい
- 属人化しやすい
- 引き継ぎ耐性が弱い
という特徴を同時に持つ。
🧩 CL2:管理されている(Managed)
🧱 CL2が意味する状態
CL2では、プロセスが 計画・監視・是正 の対象になる。
- 誰が責任を持つのかが明確
- 進捗や成果が把握されている
- 問題が起きたときに是正できる
ここで初めて、「組織としてやっている」 状態になる。
CL2のキーワードは責任と可視性である。
🧠 CL2の本質
CL2は、「うまくいったかどうか」よりも 「コントロール下に置かれているか」 を問う。
そのため、
- 成果が未達でも
- トラブルが発生していても
管理状態が説明できれば、CL2としては成立しうる。
CL2に到達すると、失敗から学習できる構造が生まれる。
🧩 CL3:定義されている(Defined)
🧱 CL3が意味する状態
CL3では、CL2で行っている管理の仕方そのものが 組織として定義 される。
- どう管理するかが明文化されている
- プロジェクトごとの差異が説明できる
- 教育・展開が可能
重要なのは、やり方が揃っていること自体ではない。
CL3は全プロジェクトで同じ手順を強制することではない。
🧠 CL3の本質
CL3が問うのは、次の一点である。
「なぜこのプロジェクトでは、このやり方を選んだのかを説明できるか」
つまり、
- 標準があり
- テーラリングの理由が説明でき
- 属人判断になっていない
という状態である。
「ベテランが判断したから」で止まる限り、
CL3には到達しない。
🧠 ドキュメント量の話ではない理由
CL1〜CL3の違いは、文書が増えるかどうか ではない。
- CL1:説明責任を問われない
- CL2:状況説明を求められる
- CL3:判断基準の説明を求められる
この違いが、結果として 記録の必要性を生む だけである。
ドキュメントは証拠であって、目的ではない。
🧾 まとめ:このページで伝えたい一点
CL1 / CL2 / CL3 の違いは、 「やっている → 管理している → 判断基準が定義されている」 という 説明責任の深さの違い にある。
次のページでは、 なぜこの中でも CL2が最も難しく、多くの組織が止まるのか を掘り下げる。