🧪 アセッサーは何を見ているのか
🧭 はじめに
このページでは、A-SPICEアセスメントにおいてアセッサーが実際に何を見て、何を評価しているのかを構造的に整理する。 チェックリストの○×や、提出資料の量ではなく、なぜその質問がされるのかを理解することが目的である。
🧩 背景・前提
A-SPICEアセスメントは「審査」ではない。 合否や優劣を決める場ではなく、その組織・プロジェクトのプロセスが、どの程度“説明可能な形”で成立しているかを確認する行為である。
そのため、アセッサーは成果物そのものよりも、
- どう決めたのか
- なぜそうなっているのか
- それが今も再現できるのか
といった思考と判断の痕跡を見ている。
A-SPICEの評価単位は「人」ではなく「プロセス」であり、アセッサーは個人の優秀さを測っているわけではない。
🏗️ A-SPICEの構造・思想
🔍 Yes / No質問の本当の意味
アセスメントでは、Yes/Noで答えられる質問が多く投げられる。 しかし、アセッサーの関心はYesかNoかではない。
- Yesなら:なぜYesと言えるのかを説明できるか
- Noなら:なぜNoなのかを把握しているか
が評価対象になる。
Yesと答えた瞬間に、説明責任が発生する。裏付けが出てこないYesは、評価を下げる。
🧭 ヒアリングが重視される理由
ドキュメントが整っていても、ヒアリングで齟齬が出ることは多い。 これは偶然ではなく、A-SPICEが意図的にヒアリングを重視する構造になっているためである。
アセッサーは次の点を見ている。
- ドキュメントと現場の理解が一致しているか
- 役割ごとに説明が破綻していないか
- 暗黙知に依存していないか
ドキュメントは存在するが、誰もそれを自分の言葉で説明できない状態は、致命的と判断される。
🔗 「トレーサビリティ」を見る本当の理由
トレーサビリティは「リンクが張ってあるか」の話ではない。 アセッサーが見ているのは、
- 要求 → 設計 → 実装 → テスト が思考としてつながっているか
という一点である。
リンクが存在しても、 「なぜこの設計になったのか」「なぜこのテストで十分と言えるのか」 を説明できなければ、トレーサビリティは成立していない。
トレーサビリティは品質保証のためではなく、説明可能性を担保するために要求されている。
🛠️ 実務上の意味/誤解されやすい点
❌ 「正解を答える場」という誤解
アセスメントは模範解答を当てる場ではない。 プロジェクトごとに事情は異なり、一つの正解は存在しない。
問われているのは、
- 自分たちのやり方を
- 自分たちの言葉で
- 一貫して説明できるか
という点のみである。
多少荒削りでも、筋の通った説明ができるプロジェクトは高く評価されやすい。
⚠️ 優秀なエースがいるプロジェクトの落とし穴
現場に非常に優秀なキーパーソンがいる場合、 その人が即答できることで「できているように見える」ことがある。
しかしアセッサーは、
- その人が不在でも説明できるか
- 判断基準が共有されているか
を必ず確認する。
あの人が分かっているから大丈夫は、A-SPICEでは評価されない。
🧾 まとめ(このページで伝えたい一点)
アセッサーは成果物を見ていない。 プロセスが“説明可能な構造”として存在しているかを見ている。
A-SPICEアセスメントとは、 「どれだけ作ったか」ではなく 「どれだけ自分たちのやり方を理解し、語れるか」を問う場である。