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ScrumとXP:アジャイルを形作る二つのアプローチ

🌱 はじめに

アジャイル開発を代表するフレームワークとして有名なのがScrumと**XP(エクストリーム・プログラミング)**です。どちらも1990年代末に誕生し、ソフトウェア開発における「変化への適応」と「価値の早期提供」を目指しています。ただし、両者には焦点の当て方や強みが異なります。この記事ではScrumとXPを比較し、それぞれの特徴と補完関係を整理します。


🏉 Scrumとは

背景

ScrumはKen SchwaberとJeff Sutherlandによって提唱されたフレームワークで、名前はラグビーの「スクラム」に由来します。

特徴

  • タイムボックス:1〜4週間の短い開発サイクル(スプリント)

  • 明確な役割:プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発チーム

  • イベント:スプリント計画、デイリースクラム、レビュー、レトロスペクティブ

  • 成果物:プロダクトバックログ、スプリントバックログ、インクリメント

Scrum自体は開発手法を規定しません。「どう作るか」ではなく「どう進めるか(プロセス管理)」に重点を置きます。


⚡ XP(エクストリーム・プログラミング)との違い

XPの特徴(復習)

  • テスト駆動開発(TDD)

  • ペアプログラミング

  • リファクタリング

  • 継続的インテグレーション

  • 小規模リリース

XPは「開発者の日々の活動」に深く踏み込んでいます。

ScrumとXPの比較

観点 Scrum XP
フォーカス プロジェクト管理 開発プラクティス
時間の枠組み スプリント 継続的(CIやTDD)
成果物 プロダクトインクリメント 品質の高いコード
主な対象 チーム全体 主に開発者
成り立ち プロジェクトマネジメント手法 実装スタイル・技術プラクティス

🔗 補完関係

Scrumは「プロセスの枠組み」、XPは「開発技術の実践」として相互補完します。

  • Scrumだけ → プロジェクトの進め方は明確だが、実装の質をどう担保するかは不十分

  • XPだけ → 良いコードは生まれるが、プロジェクトの透明性や顧客との調整が弱い

Scrum+XPを組み合わせることで、顧客価値を素早く届けながら高品質を維持するというアジャイルの理想に近づきます。


🚀 開発現場での活用例

  • Scrumのスプリントを回しながら、開発チームはXPのTDDやペアプロで品質を確保

  • レトロスペクティブで「テストの不足」「リリースの遅れ」といった課題が見えたら、XPのプラクティスを導入

  • CI/CDパイプラインをXP的に整備し、Scrumのスプリントレビューで顧客に価値を即時届ける


📌 まとめ

Scrumは「チームやプロジェクトをどう回すか」を、XPは「コードをどう作るか」を示しています。両者は対立関係ではなく補完関係にあり、組み合わせることでアジャイルの強みを最大限発揮できます。