📡 IPクラスとサブネットの基礎知識:インターネットの住所体系を理解する
🌱 はじめに
インターネット上で通信を行うためには、各機器が「住所」としてのIPアドレスを持っています。このIPアドレスを整理し、効率的に管理するための仕組みが「IPクラス」と「サブネット」です。この記事では、それぞれの背景や仕組み、そして実際の活用方法についてわかりやすく解説します。
🏠 IPアドレスの基本
IPv4アドレスとは?
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32ビットの数値で表現され、通常は「192.168.1.1」のように ドットで区切られた10進数表記 を使用します。
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2進数では
11000000.10101000.00000001.00000001
のように表せます。
IPv4は約43億個のアドレス空間がありますが、インターネットの普及により不足が深刻化しました。そのため、現在はIPv6も導入されています。
🗂️ IPクラスの登場
背景
インターネット初期は、組織ごとに一括で大きなアドレスを割り当てる必要がありました。そこで「クラス」という仕組みが導入され、ネットワーク規模に応じてアドレスが分配されました。
クラスの種類
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クラスA
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先頭ビット:
0
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範囲:
0.0.0.0
~127.255.255.255
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ネットワーク部: 8ビット
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ホスト部: 24ビット(約1,600万ホスト)
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クラスB
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先頭ビット:
10
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範囲:
128.0.0.0
~191.255.255.255
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ネットワーク部: 16ビット
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ホスト部: 16ビット(約6.5万ホスト)
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クラスC
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先頭ビット:
110
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範囲:
192.0.0.0
~223.255.255.255
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ネットワーク部: 24ビット
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ホスト部: 8ビット(254ホスト)
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クラスD(マルチキャスト用)
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クラスE(研究用、予約済み)
クラスによって「大企業はクラスA」「中規模組織はクラスB」「小規模ネットワークはクラスC」と整理でき、初期のインターネット普及に大きく貢献しました。
しかし、クラスAやBは大きすぎるネットワークを割り当ててしまい、アドレスの浪費が発生しました。
🔍 サブネットの考え方
なぜサブネットが必要?
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クラス単位では柔軟にアドレスを分割できず、大量のアドレスが無駄になる問題が発生しました。
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例えば、クラスB(65,536ホスト)を小さなネットワークに使うと、ほとんどが未使用のまま浪費されてしまいます。
サブネットマスク
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ネットワーク部とホスト部を柔軟に区切るための仕組み が「サブネットマスク」です。
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例:
255.255.255.0
は 最初の24ビットをネットワーク部 として扱うことを意味します。
CIDR表記(Classless Inter-Domain Routing)
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サブネットマスクを「スラッシュ記法」で表す方式。
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例:
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192.168.1.0/24
→ 254ホスト分利用可能 -
192.168.1.0/25
→ 126ホスト分 -
192.168.1.0/26
→ 62ホスト分
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CIDRは1993年に導入され、クラスベースの割り当てを置き換えました。これにより、IPアドレスの効率利用とルーティングテーブルの縮小が実現しました。
🛠️ 実務での利用例
プライベートIPアドレス
RFC1918で定義され、LAN内で自由に使えるアドレス範囲があります。
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10.0.0.0/8
(クラスA相当) -
172.16.0.0/12
(クラスB相当) -
192.168.0.0/16
(クラスC相当)
利用イメージ
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大企業 →
10.0.0.0/8
を部署ごとにサブネット分割 -
中小企業 →
192.168.0.0/24
をフロアごとに/26
へ分割 -
一般家庭 → ルーターが自動で
192.168.1.0/24
を利用
🚀 まとめ
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IPクラスはインターネット黎明期に生まれた区分け方法で、組織ごとに大規模・中規模・小規模で分けられていた。
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サブネットとCIDRの登場で、より柔軟で効率的なアドレス管理が可能になった。
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今日では「クラス」という概念は歴史的要素として残っているが、実務ではCIDRとサブネットの理解が必須。
IPクラスの歴史を理解することは、現在のCIDRやIPv6への移行を理解する上で大きな助けとなります。