ネットワークとセキュリティの融合:SASE(Secure Access Service Edge)の全体像
🌐 はじめに
クラウドやモバイルが当たり前となった今、従来の「社内ネットワークを守る」セキュリティモデルは限界を迎えつつあります。そこで注目を浴びているのが SASE(サシー / Secure Access Service Edge) です。
SASEは、ネットワークとセキュリティを統合した新しい枠組みとして登場し、ゼロトラストとも密接に結びついています。この記事では、SASEの背景、構成要素、導入のメリットを整理します。
🏛️ SASE誕生の背景
従来の課題
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社内ネットワークにVPNで接続し、そこからクラウドサービスにアクセスする方式は非効率。
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社員が世界中からSaaSやIaaSを利用する時代には「社内経由」がボトルネックに。
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境界防御(ファイアウォール)中心では「誰がどこからアクセスしているか」を制御しにくい。
Gartnerによる提唱
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2019年にGartnerが「SASE」という概念を発表。
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「ネットワーク機能(WAN)とセキュリティ機能をクラウドサービスとして提供するモデル」と定義。
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境界型から「クラウドエッジでの統合」へのシフトを加速させた。
⚙️ SASEの構成要素
SASEは単なる製品ではなく、複数の技術を統合したフレームワーク です。大きく分けて2つの柱があります。
1. ネットワーク機能(Network-as-a-Service)
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SD-WAN:拠点間通信を最適化し、インターネットやクラウドに直接接続。
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WAN最適化:遅延や帯域利用を効率化。
2. セキュリティ機能(Security-as-a-Service)
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CASB:クラウドサービス利用の可視化と制御。
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SWG(Secure Web Gateway):不正サイトアクセスのブロック。
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FWaaS(Firewall as a Service):クラウド型のファイアウォール。
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ZTNA(Zero Trust Network Access):ゼロトラストに基づくアクセス制御。
🔒 SASEとゼロトラストの関係
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ゼロトラストは「誰も信用しない」前提でアクセスを都度検証する考え方。
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SASEはその実装基盤を提供する形で、ZTNAを含みながら 「どこからでも安全にアクセスできる環境」 を作り出す。
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ゼロトラスト=思想、SASE=実現モデル、と整理すると理解しやすい。
🚀 SASE導入によるメリット
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ユーザー体験の向上:リモートから直接クラウドに接続でき、高速で安定。
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セキュリティ一元化:各拠点や端末ごとではなく、クラウドサービスとして統合管理。
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コスト効率:ハードウェア型セキュリティ機器を減らし、運用を簡素化。
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柔軟性:新しいSaaS導入や拠点追加に迅速対応。
VPN依存の働き方から、世界中どこでも同じセキュリティレベルで仕事ができる環境へ移行できる。
🔮 今後の展望
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**SSE(Security Service Edge)**との分化と統合:SASEのうちセキュリティ部分を強調する動き。
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AI活用:ユーザー行動分析や自動ポリシー適用。
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クラウド依存の加速:オンプレからクラウドへ移るほど、SASEの導入価値は高まる。
📝 まとめ
SASEは、ネットワークとセキュリティをクラウドベースで統合する次世代モデルです。
ゼロトラストの思想を具現化し、場所や端末を問わず安全で快適なアクセスを可能にします。
今後、クラウド活用が進むほどに、SASEは標準的なアーキテクチャとなるでしょう。