シフトレジスタIC 74HC595:仕組みと使い方
📖 はじめに
74HC595は、ArduinoやRaspberry Piなどのマイコンと組み合わせてよく使われる8ビットシリアル入力・パラレル出力シフトレジスタICです。
この記事では、「74HC595って何?」という基本から、その嬉しさ(使うメリット)、代表的な用途、そして内部の動作原理までをまとめます。
🗣 呼び方
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日本語では 「ナナヨンエッチシーゴーキューゴ」
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英語圏では 「seventy-four H C five ninety-five」 などと読む
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「595」や「シフレジ(shift register)」と略されることもあります
🎁 74HC595の嬉しさ(使うメリット)
1. ピン不足の救世主
マイコンの出力ピンが足りないとき、たった3本の信号線(データ・クロック・ラッチ)で8本の出力を制御できます。さらに複数ICを直列接続(デイジーチェーン)すれば、16本、24本…と簡単に拡張可能です。
2. 配線の簡略化
LEDや7セグメント表示器など、たくさんのピンが必要な部品をスッキリ配線できます。
3. 低コスト・入手性良好
数十円〜百円程度で手に入り、秋月電子やAmazonなどで入手可能。
実装面積も小さく、ブレッドボードや基板の省スペース化にも役立ちます。
🔧 代表的な用途
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LEDバーやLEDマトリクスの制御
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7セグメントディスプレイ表示
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リレーやスイッチング回路の制御
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簡易的なパラレル通信インタフェースの拡張
⚙ 原理(仕組み)
1. 内部ブロック構成
74HC595は、大きく分けて
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シフトレジスタ部(Serial-In Parallel-Out)
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ストレージレジスタ部(Latch)
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出力バッファ部(3ステート可能)
から構成されます。
2. シリアル入力 → パラレル出力の流れ
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データピン (SER) に1ビットずつデータを入力
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クロックピン (SRCLK) が立ち上がるごとに、データがシフトレジスタ内で右方向へ移動
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必要な8ビット分を入れたら、ラッチピン (RCLK) を立ち上げてストレージレジスタへ転送
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ストレージレジスタの内容が8本の出力ピン (Q0〜Q7) に反映される
これにより、シフト動作中に出力がちらつくのを防げます(ラッチを更新するまで出力は変わらない)。
3. 主要ピンの役割
ピン名 | 機能 |
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SER | シリアルデータ入力 |
SRCLK | シフトレジスタクロック |
RCLK | ラッチクロック |
OE | 出力イネーブル(Lowで有効) |
MR | マスタリセット(Lowで全ビット0) |
Q0〜Q7 | パラレル出力 |
Q7’ | 直列接続用シリアル出力 |
4. デイジーチェーン接続
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Q7’ を次の 74HC595 の SER に接続することで、無限に出力を増やせる
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クロックとラッチは共通線で制御できるため、3本の信号線だけで多数の出力を操作可能
🔍 まとめ
74HC595は、少ないピンで多くの出力を制御できる小さな頼れるICです。LED制御やディスプレイ駆動など、多出力が必要な場面で威力を発揮します。内部のラッチ機構により、見た目のちらつきを防ぎつつ高速制御が可能で、直列接続による拡張性も高いのが魅力です。