IPv6の構造
🌐はじめに
IPv6は、従来のIPv4に代わる次世代のインターネットプロトコルです。そのアドレス構造も大きく進化しています。
本記事では、IPv4とIPv6のアドレス構造の違いを中心に、
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長さと表記の違い
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ネットワーク部とホスト部の分離(プレフィックスとインターフェースID)
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代表的なアドレスタイプ
などを解説します。
🔢IPv4 vs IPv6:アドレスの基本構造
✅ IPv4の構造(32ビット)
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表記:
192.168.0.1
のように 10進数×4ブロック -
長さ:32ビット(4バイト)
-
分割:一般的に
ネットワーク部 / ホスト部
に分かれる(CIDR記法あり)
アドレス例 | ネットワーク部 | ホスト部 |
---|---|---|
192.168.1.25/24 | 192.168.1 | 25 |
✅ IPv6の構造(128ビット)
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表記:
2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334
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16進数×8ブロック(各ブロック16ビット)
-
::
で連続する0を省略可
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-
長さ:128ビット(16バイト)
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分割:上位64ビット:プレフィックス(ネットワーク部)、下位64ビット:インターフェースID(ホスト部)
項目 | 内容 |
---|---|
プレフィックス(ネットワーク部) | ネットワークを表す(例:2001:db8:85a3::/64) |
インターフェースID(ホスト部) | デバイスを一意に識別するための値(通常64ビット) |
🧩IPv6アドレスの構造詳細
✅ 1. プレフィックス(ネットワーク部)
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例:
2001:db8:1234::/64
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通常、64ビットまでがネットワークを表す
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ISPや企業の単位で割り当てられ、サブネット化も容易
IPv6では /64
プレフィックスが標準。つまり各サブネットに2⁶⁴(≒184京)個のホストアドレスが使える!
✅ 2. インターフェースID(ホスト部)
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残りの64ビットで1台1台のデバイスを識別
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一部のOSでは、MACアドレスを元に自動生成(EUI-64)されることもある
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プライバシー保護のため、ランダムに生成する機能(プライバシーアドレス)もある
🏷️IPv6アドレスタイプの種類
種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
ユニキャスト | 一意な1台宛のアドレス | 2001:db8::1 |
マルチキャスト | グループ宛(全ノードなど) | ff02::1 (全ノード) |
エニーキャスト | 近くのどれか1台宛 | 特定プレフィックスから割り当て |
リンクローカル | 同一リンク内でのみ有効 | fe80::/10 |
グローバルユニキャスト | インターネットで使う通常のIP | 2000::/3 |
🧮IPv6の省略表記ルール
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連続する0は
::
でまとめられる(1回だけ使える) -
例:
-
2001:0db8:0000:0000:0000:0000:0000:0001
-
→
2001:db8::1
-
🔍IPv4とIPv6の構造比較表
項目 | IPv4 | IPv6 |
---|---|---|
アドレス長 | 32ビット | 128ビット |
表記法 | 10進数・4ブロック | 16進数・8ブロック |
ホスト数 | 約43億(理論値) | 2¹²⁸(ほぼ無限) |
プレフィックスの長さ | 可変(例:/24) | 標準64ビット(/64) |
アドレス構成 | ネットワーク部 / ホスト部 | プレフィックス / インターフェースID |
NATの必要性 | 必須(アドレス不足) | 不要(十分な数) |
ブロードキャスト | あり | なし(マルチキャストに統合) |
🧠おわりに
IPv6のアドレス構造は、圧倒的な余裕と論理的な整合性をもって設計されています。
64ビット+64ビットの分離設計により、スケーラブルで自動構成がしやすく、ネットワーク設計がシンプルになります。
IPv4の世界ではアドレスのやりくりに苦労していましたが、IPv6はその制限を根本から解き放つ技術です。