Midnight Commander 各メニューの解説
💡はじめに
F9を押すと上部のメニューにフォーカスを移すことができます。本稿ではこのメニューについて解説します。ショートカットキーがメニューとともに表示されていますが特殊な書き方なので解説します。
✅ 記号の意味まとめ
表記 | 読み方 | 実際に押すキー |
---|---|---|
C-x |
Ctrl + x | Ctrlキーを押しながらxキー |
M-! |
Meta + ! | 通常は Altキー + Shift + 1(つまりAlt + !) |
C-x C-s |
Ctrl + x のあとに Ctrl + s | 連続してキーを押す(Emacs風の複合操作) |
🎹補足:Metaキーとは?
-
M-
は「Metaキー」の略で、LinuxやmacOSではほとんどの場合 Altキーに割り当てられています。 -
つまり
M-c
は Alt + c を意味します。
【情報】ターミナルによっては Esc
を1回押してから c
を押すことで M-c
と同等の動作になることもあります。
💡使い分けの例
操作 | 表記 | 実際に押すキー |
---|---|---|
パーミッション変更 | C-x c |
Ctrl + x → すぐに c |
シンボリックリンク作成 | C-x s |
Ctrl + x → すぐに s |
クイックディレクトリ移動 | M-c |
Alt + c または Esc → c |
🧭「Left / Right」メニューの解説(F9+Left/Right
)
Midnight Commander の「Left」「Right」メニュー(パネルメニュー)はまったく同じで、対象となるパネル(左 or 右)が違うだけです。
メニュー項目 | 説明 |
---|---|
File listing | 標準のファイル一覧モード(通常の表示)に戻す。ツリー表示やプレビューを解除したいときに使う。 |
Quick view C-x q |
反対側のパネルに選択ファイルの中身をプレビュー表示。テキストファイルの確認に便利。 |
Info C-x i |
現在のパネルに選んだファイルの詳細情報(サイズ、属性、所有者など)を表示。 |
Tree | パネルをツリー構造表示に切り替え。ディレクトリの階層を視覚的にナビゲートできる。 |
Listing format... | ファイル一覧の表示形式(詳細/簡易、列の内容など)を変更。 |
Sort order... | 並び順を変更(名前順、サイズ順、日付順など)。 |
Filter... | 表示ファイルを絞り込み(例:*.txt など)。ワイルドカードが使える。 |
Encoding... M-e |
ファイル名表示の文字コード設定(UTF-8が基本だが、Shift_JISなども選べる)。日本語環境では重要。 |
FTP link... | FTPサーバに接続。例:ftp://user@host 。接続先がこのパネルに表示される。 |
Shell link... | SSHベースの仮想ファイルシステムに接続。例:sh://user@host 。ローカルとリモートを並べて使える。 |
SFTP link... | SFTP(SSHベースのセキュアなファイル転送)に接続。鍵認証などにも対応。 |
Panelize | 任意のコマンド(例:find . -name '*.log' )の結果をこのパネルに表示。フィルタ検索のような使い方。 |
Rescan C-r |
パネル内容を再読み込み。外部でファイルを操作した後などに最新状態に更新できる。 |
🧠使い分けのポイント
-
Left / Right は内容が同じで、対象となるペインが左右で違うだけ。
-
片方をFTP、もう片方をローカルなど、「2つの世界をつなぐ」ために独立して設定できるのがmcの強み。
-
特に Tree表示と一覧表示の組み合わせ(例:左=Tree、右=一覧)や、片方をパネル化して検索結果表示するといった使い方が便利。
🏁ポピュラーなユースケース
操作例 | どんなときに便利? |
---|---|
Left > Tree + Right > File listing |
ディレクトリ構造を見ながらファイルを操作 |
Left > FTP link + Right = ローカル |
サーバとのファイル転送に最適 |
Right > Filter... |
一時的に特定の拡張子だけを表示して操作したいとき |
🗂️「File」メニューの項目解説(F9 → File
)
メニュー | キー | 説明 |
---|---|---|
View | F3 |
ファイルを閲覧モードで開く(読み取り専用、変更不可)。 |
View file... | - | 任意のパスを手入力して表示。ファイルを直接指定して閲覧できる。 |
Filtered view | M-! |
条件付き表示。指定したコマンドの出力を仮想ファイルとして表示(例:grep など)。 |
Edit | F4 |
内蔵テキストエディタでファイルを編集(書き込み可能)。 |
Copy | F5 |
選択したファイルをもう一方のパネルにコピー。 |
Chmod | C-x c |
パーミッション(chmod)を変更するダイアログを表示。 |
Link | C-x l |
ハードリンクを作成。 |
Symlink | C-x s |
シンボリックリンクを作成(ショートカット的なもの)。 |
Relative symlink | C-x v |
相対パスでのシンボリックリンク作成。 |
Edit symlink | C-x C-s |
シンボリックリンクのリンク先を編集(テキストで変更可能)。 |
Chown | C-x o |
所有者とグループを変更(chownコマンドのUI)。 |
Advanced chown | - | 所有者・グループだけでなく詳細属性も変更できる上級モード。 |
Chattr | C-x e |
Linuxの特殊なファイル属性(immutableなど)を変更。 |
Rename/Move | F6 |
ファイル名変更、または別ディレクトリへ移動。 |
Mkdir | F7 |
新しいディレクトリを作成。 |
Delete | F8 |
ファイルやディレクトリを削除。確認ダイアログあり。 |
Quick cd | M-c |
クイックパス移動。ディレクトリ名を直接入力してすばやく移動。 |
🔢 グループ操作系
メニュー | 説明 |
---|---|
Select group (+ ) |
ワイルドカード(例:*.txt )で複数ファイルを選択。 |
Unselect group (- ) |
指定したパターンの選択を解除。 |
Invert selection (* ) |
現在の選択状態を反転(選ばれていないものを選択)。 |
🚪Exit
メニュー | キー | 説明 |
---|---|---|
Exit | F10 |
Midnight Commander全体を終了する。 |
🔰補足Tips
-
F5(コピー)とF6(移動)は非常によく使う。選んで、もう一方のパネルに送るだけ!
-
View(F3)とEdit(F4)は安全に中身確認→編集できるので、うっかりコマンドミスも防げる。
-
Chattr や Edit symlink は一般ユーザーには不要な場面もあるけど、システム管理者には便利。
このメニューをマスターすると、GUIとほぼ同じことがターミナル上でサクサクできるようになるよ。操作の快適さが段違い!
了解!スクショに写っている「Commandメニュー」の内容を、初心者でも使いやすくなるように1項目ずつわかりやすく解説するね。
⚙️「Command」メニュー(F9 → Command
)
📦 上段:ファイル・ディレクトリ操作
項目 | キー | 説明 |
---|---|---|
User menu | F2 |
ユーザー定義メニュー。ファイルの圧縮・解凍・chmodなど、登録された便利コマンドを一覧から実行。カスタムも可。 |
Directory tree | - | 選択ペインをツリー表示に切り替え。フォルダ構造を木構造で確認可能。 |
Find file | M-? |
ファイル検索(名前や一部一致など)。カレント以下を検索対象にできる。 |
Swap panels | C-u |
左右のパネルの表示内容を入れ替える(中身だけが入れ替わる)。 |
Switch panels on/off | C-o |
mcを一時的に隠してターミナルだけ表示(再度C-o で戻る)。コマンド併用に便利。 |
Compare directories | C-x d |
左右のパネルでディレクトリ比較。ファイルの有無や更新差異を表示。 |
Compare files | C-x C-d |
2つのファイル内容を比較(diff)。左右でファイルを選択しておく必要あり。 |
External panelize | C-x ! |
任意コマンド(例:find . -type f -name '*.log' )の結果をファイル一覧として表示。 |
Show directory sizes | C-Space |
ディレクトリのサイズ合計を表示。ディスク容量確認に便利。 |
🧠 中段:履歴と情報管理
項目 | キー | 説明 |
---|---|---|
Command history | M-h |
実行したコマンドの履歴一覧を表示(内部で入力した履歴)。 |
Viewed/edited files history | M-E |
F3(閲覧)やF4(編集)したファイルの履歴を確認。 |
Directory hotlist | C-\ |
お気に入りディレクトリのショートカット一覧。よく使うパスを登録して瞬間移動できる。 |
Active VFS list | C-x a |
接続中の仮想ファイルシステム(FTPなど)の一覧を表示。 |
Background jobs | C-x j |
バックグラウンドで動作中のジョブ(コピーなど)を確認。 |
Screen list | M- (Alt + `) |
仮想ターミナルのようにmc内で複数画面を切り替えるための機能(使わない人も多いが高度な使い方に便利)。 |
🧹 下段:特殊・拡張機能
項目 | 説明 |
---|---|
Undelete files (ext2fs only) | ext2ファイルシステムで削除ファイルを復元(現代ではほぼ使用不可)。 |
Edit extension file | 拡張子ごとの動作設定ファイル(.mc.ext )を編集。ファイルごとのビュー・実行設定を変更可。 |
Edit menu file | F2メニューの定義ファイル(menu )を編集。カスタムメニュー作成に使用。 |
Edit highlighting group file | ファイルの色分けルールを定義する設定を編集。カラー設定を自分好みに変更可能。 |
💡おすすめ活用ポイント
-
Compare directories / files はバックアップ確認やコード差分に超便利。
-
Directory hotlist は
C-\
一発でお気に入りパスに飛べて爆速作業ができる。 -
Switch panels on/off(C-o) は一時的にターミナル作業に戻るときに重宝。
「Command」メニューは中級者向けの便利機能の宝庫。でも「Directory hotlist」や「Compare files」など、使いやすい機能から1つずつ覚えるだけでも作業効率が一気に上がるよ!
⚙️「Options」メニューの解説(F9 → Options
)
メニュー項目 | 説明 |
---|---|
Configuration... | 動作の基本設定。自動保存や中間ファイルの表示、キーのバインドなど、mc全体のふるまいを調整できる。よく使う設定項目が詰まっている。 |
Layout... | 画面の構成を調整(例:パネルの上下/左右切り替え、情報バーやメニューバーの表示の有無など)。見た目をカスタマイズしたいときに使う。 |
Panel options... | パネルごとの表示設定(例:隠しファイルを表示、サイズ・日付の表示形式、ファイル名の切り詰め方など)。細かい表示スタイルを調整できる。 |
Confirmation... | 削除や上書き時の確認ダイアログの有無を設定できる。「確認がうっとうしい」「逆に怖いから入れたい」という人向け。 |
Appearance... | スキンや色テーマの変更ができる。default , dark , gotar , nicedark , featured などから選択可能。 |
Display bits... | 文字コード関連の設定。日本語環境などでファイル名が文字化けする場合の対処によく使う。 |
Learn keys... | 特殊キー(ファンクションキーなど)を手動で設定するモード。端末がキー入力を正しく解釈できないときの最終手段。 |
Virtual FS... | 仮想ファイルシステム(FTP、SFTP、tar.gzファイルの中身など)関連の設定。接続時の動作やキャッシュの扱いなどを調整できる。 |
💾Save setup
-
現在の設定を保存するコマンド。
~/.config/mc/ini
(または~/.mc/ini
)に反映される。 -
mcを終了しても設定が保持されるようにするには、これを実行しておくのがベスト。
💡おすすめ設定変更ポイント(初心者向け)
-
Panel options... → 「Show hidden files」にチェックで
.
から始まるファイルも見える。 -
Appearance... →
nicedark
やfeatured
にすると目に優しいテーマになる。 -
Confirmation... → 誤削除防止に「Delete confirmation」はONがおすすめ。
「Options」メニューを使いこなせば、Midnight Commanderは自分好みの快適ファイラに育てられるよ!
🎯Midnight Commander おすすめ初期設定まとめ
🧱1. 隠しファイルを表示する
-
場所:
Options > Panel options...
-
設定:「Show hidden files」にチェック
-
理由:Linuxでは設定ファイルなど重要なファイルは「
.
(ドット)」から始まる=デフォルトでは非表示。これを表示することで.bashrc
や.config
などが見えるようになり、設定作業やトラブルシュートに役立つ。
🌈2. カラースキンを変更して目に優しく
-
場所:
Options > Appearance...
-
おすすめスキン:
-
nicedark
:黒背景・視認性が高く目に優しい -
featured
:明暗のバランスがよく現代的
-
-
理由:デフォルトの青背景×白文字は長時間作業だと疲れることも。視認性を自分に合った配色に変えると快適度が格段にUP。
🛑3. 削除や上書きに確認を出す
-
場所:
Options > Confirmation...
-
おすすめ設定:
-
Delete
:チェックON -
Overwrite
:チェックON
-
-
理由:操作ミスによる削除・上書き事故を防ぐ。初心者は特にON推奨!
【成功】慣れてきたら一部解除してもOKだけど、最初は安全重視で◎
🔠4. ディレクトリサイズを見やすく表示
-
場所:
Command > Show directory sizes
(Ctrl + Space
) -
合わせて設定:
Options > Panel options...
→ 「Compute directory sizes」ON -
理由:容量の大きいディレクトリを視覚的に把握しやすくなる。ディスク整理の助けに◎
⌨️5. キーバインドを覚える&C-o
(パネルの一時非表示)を活用
-
おすすめ操作:
-
Ctrl + o
:mcの画面を一時非表示にして、ターミナルに切り替え -
再度
Ctrl + o
:mcに戻る
-
-
理由:ファイル操作の合間にコマンド打てて超効率的。GUIではできないターミナルならではの利点!
💾6. 設定を保存して再起動後も反映
-
場所:
Options > Save setup
-
理由:変更した色・表示形式・確認設定などがmcを再起動しても維持されるようになる。
【警告】保存しないと変更が一時的なままなので、設定変更後は「Save setup」を忘れずに!
📝補足:設定ファイルの場所(手動編集したい人向け)
-
通常:
~/.config/mc/ini
-
古い環境や互換モード:
~/.mc/ini
ここにスキン、パネル幅、表示形式などが保存されているよ。
🔚まとめ
設定をちょっといじるだけで、Midnight Commanderは作業効率と安全性が段違いに向上するツールになる。最初は上記6項目だけでも十分だから、ぜひ試してみて!