ELECOMのWi-Fi子機「WDC-X1201DU3-B」をUbuntuで使用するための手順書
✅ はじめに
「WDC-X1201DU3-B」は、Realtek社の「RTL8832AU」チップを搭載しており、Linuxカーネルには標準で対応していません。そのため、対応するドライバ「rtl8852au」を手動でビルド・インストールする必要があります。
🛠️ 手順概要
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デバイスの認識確認
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必要なパッケージのインストール
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ドライバの取得とビルド
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ドライバのインストール
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カーネル更新時の自動対応(DKMSの設定)
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Secure Boot環境での対応(必要な場合)
1. デバイスの認識確認
ターミナルを開き、以下のコマンドを実行してデバイスが認識されているか確認します。
lsusb
出力例:
Bus 003 Device 006: ID 056e:4020 Elecom Co., Ltd 802.11ax WLAN Adapter
上記のように表示されれば、デバイスは正しく認識されています。
2. 必要なパッケージのインストール
ドライバのビルドに必要なパッケージをインストールします。
sudo apt update
sudo apt install -y build-essential git dkms linux-headers-$(uname -r)
3. ドライバの取得とビルド
GitHubからドライバのソースコードを取得し、ビルドします。
git clone https://github.com/lwfinger/rtl8852au.git
cd rtl8852au
make
ビルドが成功すると、カーネルモジュールが生成されます。
4. ドライバのインストール
ビルドしたドライバをインストールします。
sudo make install
sudo modprobe 8852au
これで、Wi-Fiアダプターが使用可能になります。
5. カーネル更新時の自動対応(DKMSの設定)
カーネルが更新されると、手動でドライバを再インストールする必要があります。これを自動化するために、DKMSを設定します。(Qiita)
cd ~/rtl8852au
sudo dkms add .
sudo dkms build rtl8852au -v 1.15.0.1
sudo dkms install rtl8852au -v 1.15.0.1
インストールが成功したか確認します。
modinfo 8852au
ドライバ情報が表示されれば成功です。
6. Secure Boot環境での対応(必要な場合)
Secure Bootが有効な環境では、ドライバの署名が必要です。以下の手順で対応します。
cd ~/rtl8852au
make
sudo make sign-install
パスワードの入力を求められるので、任意のパスワードを設定してください。
再起動後、MOK(Machine Owner Key)管理画面が表示されます。以下の手順でキーを登録します。
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「Enroll MOK」を選択
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先ほど設定したパスワードを入力
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「Continue」を選択し、再起動
これで、Secure Boot環境でもドライバが有効になります。
🔍 参考情報
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Qiita記事:WDC-X1201DU3-BをLinuxで使う!
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GitHubリポジトリ:lwfinger/rtl8852au