Unixのルートディレクトリ(/)直下にある主なディレクトリについて
🗂️ はじめに
UNIX系のOSでは、すべてのファイルやディレクトリは「ルートディレクトリ /
」を起点とした単一の階層的なファイルツリー構造になっています。ここに配置された各ディレクトリは、役割ごとに整理されており、システム全体の基盤を形成しています。
このページでは、そのルートディレクトリ直下にある主要なディレクトリと、それぞれの目的や内容について解説します。
📁 ルート直下の主なディレクトリ一覧とその意味
ディレクトリ | 主な内容と役割 |
---|---|
/bin |
基本的なコマンドの実行ファイル(例: ls , cp , mv , bash )。どのモードでも必要な最低限のコマンド群。 |
/boot |
ブートローダ(例: GRUB)やカーネルに関するファイル。OS起動に必要。 |
/dev |
デバイスファイル(例: sda , tty , null )が置かれる場所。実体は仮想ファイル。 |
/etc |
設定ファイル群。システム全体に関わる設定(例: passwd , fstab , ssh/ )。 |
/home |
ユーザーごとのホームディレクトリが置かれる場所(例: /home/username )。 |
/lib , /lib64 |
共有ライブラリやカーネルモジュール。/bin や/sbin 内のコマンドが依存する基本的な.soファイル群。 |
/media |
USBなどリムーバブルメディアの自動マウント先。 |
/mnt |
一時的なマウントポイント用の場所。手動でのマウントに使われることが多い。 |
/opt |
オプションソフトウェアのインストール先。サードパーティ製アプリケーションなど。 |
/proc |
カーネルやプロセス情報を提供する仮想ファイルシステム(例: /proc/cpuinfo , /proc/1234/ )。 |
/root |
rootユーザーのホームディレクトリ。通常のユーザーとは別に隔離されている。 |
/run |
一時的なランタイムデータ。プロセスのPIDやソケットなどが置かれる。 |
/sbin |
管理者用の基本的なコマンド(例: fsck , ifconfig )。通常のユーザーは実行できない。 |
/srv |
サービス固有のデータ格納場所(例: WebやFTPの公開ディレクトリ)。 |
/sys |
ハードウェアやカーネル情報を提供する仮想ファイルシステム(/proc に似ているが別の仕組み)。 |
/tmp |
一時ファイル置き場。再起動でクリアされることが多い。 |
/usr |
ユーザー向けのアプリケーションやライブラリなど。さらに以下のような構造を持つことが多い: └ /usr/bin , /usr/lib , /usr/share , /usr/local など |
/var |
可変データの保存場所。ログファイル(/var/log )、スプール(メール、印刷待ち)など。 |
🧭 注意すべきポイント
-
/bin
や/sbin
は/usr/bin
,/usr/sbin
と統合される流れもあり、最近のディストリビューションではシンボリックリンクになっていることもあります。 -
/tmp
や/var/tmp
は不安定なファイルが多く、自動で削除されることもあるので、永続的に保存すべきデータは置かないようにしましょう。 -
/home
はユーザーデータが集中するため、別パーティションにしておくとバックアップや移行が楽になります。
🔚 おわりに
ルートディレクトリ直下の構造を理解することは、UNIXやLinuxを使いこなすうえでの第一歩です。ファイルの役割と意味を把握しておくと、トラブルシューティングやシステム構成の理解にも大いに役立ちます。