Python 3系の進化と主要ライブラリの変遷(2008年〜2025年)
概要
Python 3系は2008年にリリースされました。2系との互換性を断ち切り、「明示的で読みやすく、モダンな設計」を重視した進化を続けています。ここでは、各バージョンの主要な言語機能と、当時注目されたライブラリやトレンドを時系列でまとめます。
バージョン別の主な進化とライブラリのトレンド
● 3.0(2008年)
-
print()
を関数化 -
Unicodeが標準文字列に
-
range
がイテレータに -
古い構文の大幅整理
→ 多くのライブラリがまだ3系未対応。互換支援のためのsix
ライブラリが登場
● 3.2(2011年)
-
新しいガベージコレクタの導入
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SSL/TLSの改善
→ NumPyやmatplotlibが徐々に3系対応。Django 1.3以降が3系を意識し始める
● 3.3(2012年)
-
venv
による仮想環境の正式導入 -
yield from
によるジェネレータ委譲
→ Flaskが軽量Webフレームワークとして注目され始める
● 3.4(2014年)
-
asyncio
の登場で非同期処理が可能に -
enum
やpathlib
の追加
→ scikit-learn の普及が進む
● 3.5(2015年)
-
async
/await
の構文が導入 -
型ヒント用の
typing
モジュール追加
→ TensorFlow が登場、Jupyter Notebook が学術用途で普及
● 3.6(2016年)
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f文字列(f-string)の導入
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セキュリティ用
secrets
モジュールの追加
→ PyTorch が登場、pandas が定番に
● 3.7(2018年)
-
@dataclass
の導入 -
モジュールレベルの
__getattr__
対応 -
パフォーマンス改善
→ FastAPI が登場し、非同期Webフレームワークとして注目を集める
● 3.8(2019年)
-
ウォルラス演算子
:=
の導入 -
f-string で
=
を使ったデバッグ表記が可能に
→ Streamlit や HuggingFace Transformers などが台頭
● 3.9(2020年)
-
ジェネリック型の書き方が簡略化
-
辞書のマージ演算子
|
が追加
→ Python 2のサポート終了により、3系移行が本格化。AI/機械学習分野でPythonが事実上の標準に
● 3.10(2021年)
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構造的パターンマッチ(match-case構文)の導入
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型チェックの厳格化
→ Pydantic v1 が安定して利用され、Poetryやmypyも定番化
● 3.11(2022年)
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最大60%の高速化(Faster CPython)
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トレースバック(エラー表示)の改善
→ Gradio や Streamlit など、AIデモ作成ツールが活況に
● 3.12(2023年)
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非推奨機能の明示と警告強化
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エラーメッセージのさらなる改善
→ LangChain や LlamaIndex など、AI支援ツールが成長
● 3.13(2024年)
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C-APIの整理
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マルチスレッドの改善
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新たなエラーハンドリング機構の改善
→ Gemini や OpenAI API の本格活用が進み、PyScript にも注目が集まる