🐍 Pythonの歴史

■ 1980年代後半：構想の始まり

• 開発者：オランダ人プログラマ Guido van Rossum（グイド・ヴァンロッサム）。

• 背景：教育用言語「ABC」を改良したいと考えていた。

• 目標：シンプルで可読性の高い、かつ汎用的なスクリプト言語の実現。

■ 1991年：Python 0.9.0 公開

• 場所：Usenetにてソースコードを初公開。

• 特徴：

  • クラス、例外、関数、コアデータ型（list, dict, str）などをすでに実装。

  • モジュール機構（最初期のimport文）を搭載。

■ 1994年：Python 1.0 リリース

• 主な追加：

  • lambda, map, filter, reduce などの関数型プログラミング機能。

• 用途：学術・教育、簡単なスクリプト処理に用いられる。

■ 2000年：Python 2.0 リリース

• 主な進化：

  • リスト内包表記の導入（例：[x*x for x in range(10)]）

  • ガベージコレクタの改善（循環参照の検出）

  • Unicode対応の初導入。

• 問題点：後にPython 3と互換性がなくなる設計ミスが含まれていた。

■ 2008年：Python 3.0 リリース（通称「Python 3000」）

• 設計方針：互換性を断ち切ってでも「本当に正しい設計」を目指す。

• 主な変更点：

  • print を文から関数に変更：print "hello" → print("hello")

  • Unicodeが標準文字列になる。

  • range() がイテレータに（xrange()は廃止）。

• 移行の困難さ：多くの既存コードが2系に依存しており、移行に時間がかかった。

■ 2010年代：Pythonの普及とブーム

• データサイエンスの台頭：

  • ライブラリ（NumPy, pandas, matplotlib, scikit-learnなど）が発展。

  • Pythonが科学計算やAI分野の標準的言語に。

• Web開発：Django, Flask などの人気フレームワーク。

• 教育界・初学者に人気：文法のシンプルさが評価される。

■ 2020年：Python 2 のサポート終了（EOL）

• 長らく共存していた2系の公式サポートが終了（2020年1月1日）。

• 本格的に3系への統一が進む。

■ 現在（2025年時点）

• 最新バージョン：Python 3.12（2023年10月リリース）、2024年には3.13も登場予定。

• 新機能の例：

  • マッチング構文（match-case）でパターンマッチが可能に。

  • 型ヒントと静的解析の強化。

  • パフォーマンス向上（「Faster CPython」プロジェクト）。

• 用途の広がり：

  • AI・機械学習（TensorFlow, PyTorch）

  • Webアプリ

  • 自動化・スクリプティング

  • IoTやRaspberry Pi、教育用途

🎯 Pythonの特徴を形づくった理念

• シンプルさ：「読みやすさは大切だ（Readability counts）」

• 明示性：「曖昧さは排除する（Explicit is better than implicit）」

• 一つの正しいやり方：「同じ目的に対して複数のやり方があるより、1つのやり方がある方が良い（There should be one—and preferably only one—obvious way to do it）」