aiohttpが選ばれる場面・選ばれない場面
🧭 はじめに(What / Why)
このページでは、aiohttp が どんな文脈で選ばれ、どんな文脈では選ばれないのかを整理します。
aiohttpは単なるHTTPクライアントではありません。
- asyncio前提で設計された 非同期I/Oネイティブ
- クライアントとサーバの両方を持つ フレームワーク寄りの存在
到達点は明確です。 「aiohttpは“非同期が必要だから”ではなく、“asyncio中心で世界を組むと決めたとき”に選ぶ道具」 ──この判断軸を固定します。
🕰 立ち位置の整理(Before / After)
Before: 非同期HTTPの空白地帯
requestsは同期専用。 asyncioが標準化(Python 3.4+)されても、HTTP層は長く空白でした。
- 非同期I/Oは欲しい
- だが同期APIを無理にラップするのは限界
- 「asyncioネイティブ」なHTTP実装が必要
After: aiohttpの登場
aiohttpは asyncioと同時代に設計されたライブラリです。
- イベントループ前提
- await を前提としたAPI
- HTTPクライアント + Webサーバ
つまり、aiohttpは 「HTTPをasyncioの世界観に完全に組み込む」 ために生まれました。
aiohttpは「requestsの非同期版」ではありません。立ち位置そのものが違うライブラリです。
🧠 設計思想の核(最重要)
asyncio密結合という覚悟
aiohttpの最大の特徴は、asyncioへの完全なコミットです。
- APIはすべて async/await 前提
- 同期APIは存在しない
- イベントループ管理が利用者の責務
これは制限であると同時に、強みでもあります。
優先したもの
- 非同期処理の一貫性
- 高い同時接続性能
- ストリーム処理・WebSocket・長時間接続
捨てたもの
- 同期コードとの親和性
- 「とりあえず使える」手軽さ
- requests互換の書き味
aiohttpは学習コストを下げる設計ではない。asyncioを理解している前提で最適化されています。
⚖️ できること / できないこと
できること(得意領域)
- asyncio環境での大量同時HTTP通信
- WebSocket / ストリーミング
- 非同期Webサーバ(API・Webアプリ)
- 高負荷・常時接続型サービス
向いていないこと(境界線)
- 同期スクリプト・CLI
- 小規模ツール・一発HTTP呼び出し
- 「将来asyncかも」という曖昧要件
同期コードの一部だけをaiohttpに置き換えるのは設計破綻を招きやすい。aiohttpは「部分導入」に向かない。
🧪 典型的な利用パターン(最小)
aiohttpのコードは、asyncio構造そのものを示します。
import aiohttp
import asyncio
async def main():
async with aiohttp.ClientSession() as session:
async with session.get("https://api.example.com/items") as resp:
data = await resp.json()
asyncio.run(main())
重要なのはコード量ではありません。
- イベントループ
- async/await
- セッション管理
アプリ全体が非同期であることが前提です。
🚧 よくある誤解・アンチパターン
誤解①: 「非同期ならaiohttpが最強」
- 非同期 = すべて高速、ではない
- I/O境界・処理内容・設計次第
誤解②: 「httpx async より速そう」
- aiohttpは低レベルで自由度が高い
- その分、設計責任も大きい
- “速さ”より制御性を選ぶライブラリ
誤解③: 「将来async用に今からaiohttp」
「将来」要件のために現在の可読性・保守性を捨てるのは典型的な選択ミス。
🔗 他ライブラリとの関係
- requests → 同期HTTPの完成形。学習コスト最小。
- HTTPX → sync/async 両対応。移行コスト低。
- aiohttp → asyncio密結合。高自由度・高責任。
選択基準を一言でまとめると:
「asyncioを前提にシステムを設計する」と決めたならaiohttp、そうでなければ選ばない。
🧾 まとめ(1文で言うと)
aiohttpは、asyncio中心で世界を組むと決めたときに最大の力を発揮する、非同期ネイティブHTTPフレームワークである。