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Mosquittoについて

🧭 はじめに

この記事では、MQTT（Message Queuing Telemetry Transport）の代表的なブローカー「Mosquitto」について詳しく解説します。
MQTTはIoT（モノのインターネット）に特化した軽量な通信プロトコルで、Mosquittoはその中でも特に広く使われているブローカーです。この記事を通じて、Mosquittoの基本的な仕組みから実際の利用法、セキュリティ設定、運用上のポイントまでを体系的に理解できます。

MQTTについてはMQTTで説明しています。

🦟Mosquittoとは？

🪪 基本情報

  • 正式名称：Eclipse Mosquitto

  • 役割：MQTTプロトコルのブローカー（サーバー）

  • 開発元：Eclipse Foundation（オープンソース）

  • 主な用途：IoTデバイス間のメッセージ中継、スマートホーム、監視システムなど

Mosquittoは、MQTTクライアント間のPub/Subモデル通信を仲介します。送信側（Publisher）と受信側（Subscriber）が直接接続せず、Mosquittoがトピック単位で中継します。

📦 インストールと起動

🐧 Linux（Ubuntu）の場合

sudo apt update
sudo apt install mosquitto mosquitto-clients
sudo systemctl enable mosquitto
sudo systemctl start mosquitto

🪟 Windowsの場合

  • 公式サイトからインストーラを取得

  • OpenSSL依存のため、DLLの配置が必要

  • デフォルトではmosquitto.exeを実行すればブローカー起動

📡 基本の使い方

🔊 Publisher（送信）

mosquitto_pub -h localhost -t test/topic -m "Hello"

📥 Subscriber（受信）

mosquitto_sub -h localhost -t test/topic

これにより、test/topic というトピックに対して送信されたメッセージを、購読中のクライアントが受け取れます。

🔐 セキュリティ機能

Mosquittoは軽量でありながら、以下のような本格的なセキュリティ機能も備えています。

🧾 認証（パスワード方式）

mosquitto_passwd -c /etc/mosquitto/passwd user1

設定ファイルに以下を追加：

password_file /etc/mosquitto/passwd
allow_anonymous false

🔒 TLS/SSL対応

自己署名証明書または正式な証明書を使って、通信の暗号化が可能です。
設定例：

cafile /etc/mosquitto/certs/ca.crt
certfile /etc/mosquitto/certs/server.crt
keyfile /etc/mosquitto/certs/server.key
require_certificate false

TLS設定は、インターネットを介した利用やクラウド連携時には必須です。LAN内でも機密性がある場合は有効化推奨。

📖 設定ファイルの基本構成

設定ファイルは通常 /etc/mosquitto/mosquitto.conf にあります。分割構成も可能です：

# mosquitto.conf
include_dir /etc/mosquitto/conf.d

よく使う設定項目：

  • listener 1883：ポート指定（通常は1883）

  • allow_anonymous false：匿名アクセス禁止

  • log_type all：ログレベルの指定

🔄 永続化とリテンション

Mosquittoは以下のようなメッセージ保持機能を備えます。

📌 Retained Message（保持メッセージ）

  • 直近のメッセージをトピックごとに保持

  • 新規Subscriberにも即時送信

💾 Persistence（永続化）

  • メッセージの履歴やセッション情報を再起動後も保持

  • 設定例：

    persistence true
persistence_location /var/lib/mosquitto/

🔍 運用・デバッグ

  • mosquitto_sub -d：デバッグ出力付き購読

  • ログファイルの場所：/var/log/mosquitto/mosquitto.log

  • systemctl restart mosquitto で反映

設定変更後の再起動忘れに注意。systemctl reload は一部設定に非対応。

🌐 Mosquittoの強みとユースケース

👍 強み

  • 軽量・高速（Raspberry Piでも動作可能）

  • MQTT v3.1/v3.1.1/v5対応

  • シンプルな設定と柔軟な拡張性

🏠 ユースケース例

  • 家庭用スマートホームの中核ブローカー

  • 工場のセンサーデータ収集基盤

  • 学習用途・実験環境

🧩 関連ツール

  • mosquitto_pub/sub：CLIクライアント（学習・デバッグ向け）

  • Node-RED：MQTT連携のビジュアルプログラミング

  • Home Assistant：スマートホーム用統合環境

🏁 まとめ

Mosquittoは、MQTTの世界における「標準」ともいえる存在であり、学習用途から本格的なIoTシステムまで幅広く活用されています。軽量ながらも十分なセキュリティ機能や永続化機能を備え、カスタマイズも柔軟に可能です。

初学者でも使いやすい設計になっているため、「まずは試してみたい」人にぴったりのMQTTブローカーです。IoTやPub/Sub通信に関心がある人は、ぜひ一度Mosquittoを動かしてみてください。

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