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FastAPIとGradioの使い分け

🚀はじめに

この記事では、PythonでWebアプリケーションやAPIを作成するためのフレームワーク「FastAPI」について紹介します。また、GUIツールの「Gradio」との違いや使い分けのポイントについても解説します。

FastAPIは、機械学習やバックエンド開発の現場で広く使われている強力なツールですが、Gradioもまた簡単にインタラクティブなUIを作成できるツールとして人気があります。どちらもPythonで書けますが、「何を作りたいか」によって適切な選択が必要です。


🧱FastAPIとは何か?

背景と誕生の理由

FastAPIは、高性能かつ型安全なWeb APIを簡単に作成できるPythonフレームワークとして2018年頃に登場しました。当時の主流であったFlaskやDjango REST frameworkは柔軟ながらも型チェックやドキュメント生成の面で手間がかかりがちでした。

FastAPIは以下を主眼に開発されました:

  • Pythonの型ヒントを活用してコードの明確性を高める

  • OpenAPI(Swagger)仕様の自動生成

  • 非同期処理(async/await)の完全サポート

  • 高速な処理性能(StarletteとPydanticに基づく)

特徴と強み

  • 型によるバリデーションが自動

  • 自動生成されるAPIドキュメント(Swagger UI & ReDoc)

  • 非同期I/O対応で高スループット

  • 依存性注入が標準搭載

  • コンテナ化やCI/CDとの親和性も高い

FastAPIは内部で「Starlette(ASGI対応の軽量Webフレームワーク)」と「Pydantic(型バリデーションライブラリ)」を使っているため、堅牢でありながら非常に高速です。


🖼️Gradioとは何か?

Gradioは、機械学習モデルに簡単なGUIを提供するためのPythonライブラリです。

特徴

  • ノーコードでUIを作成可能

  • ブラウザ上で動作(localhost:7860 など)

  • ボタン・テキスト・画像などの入出力を簡単に構築できる

  • Hugging Faceとの連携が容易

主なユースケース

  • 機械学習モデルのデモ作成

  • チーム内でのプロトタイプ共有

  • ノンエンジニア向けの簡易ツール提供


🧩FastAPIとGradioの使い分け

観点 FastAPI Gradio
対象ユーザー 開発者、API利用者 一般ユーザー、非エンジニア
主な用途 REST API、バックエンド モデルの可視化、GUI
UI構築 必要に応じてHTML/JSで作る Pythonだけで即GUI
拡張性 高い(大規模システム対応) 低〜中(あくまで簡易UI)
ドキュメント OpenAPI自動生成 なし
デプロイ ASGI準拠(uvicorn/gunicorn) localhost or Hugging Faceでホスト

実際の使い分け例

  • APIを中心に据えるプロジェクト(モバイルアプリのバックエンド、業務システム連携など):FastAPI

  • 社内向けツールやMLデモのGUIをサクッと作りたい:Gradio

  • 両者の組み合わせ:FastAPIでモデルAPIを作り、Gradioでそのフロントを簡易実装する構成も可能

GradioはPoCやプロトタイピングに非常に向いていますが、FastAPIは商用サービスでも通用する堅牢な設計です。


🔧開発体験の比較

FastAPIの嬉しさ

  • 型安全による安心感のある開発

  • 自動ドキュメントによる共有のしやすさ

  • Pydanticによる複雑な入力バリデーションも簡単

  • 非同期処理や依存性注入による高度なアーキテクチャ

Gradioの嬉しさ

  • GUIで一瞬でインタラクティブUIを実装

  • 開発者でなくても結果を体感できる

  • デザイン不要で即見せられるお手軽さ


🧠まとめ

  • FastAPIは、API開発やスケーラブルなバックエンド構築に向いている本格派フレームワーク。

  • Gradioは、簡単なUIが欲しいときに即使えるGUIツール。

  • 両者は競合というより補完関係にあり、開発フェーズや目的に応じて併用すると非常に効果的です。

今後は「FastAPI + Gradio」で、APIとGUIをうまく組み合わせた構成がさらに広がっていくと考えられます。試作から商用化まで、段階に応じて両者を活用してみてください。